雪下ろし中の転落事故など、雪による被害「雪害」が近年、増加傾向にある。総務省消防庁によると、この10年の死者・不明者は439人に上り、自然災害の4割を占める。高齢化や過疎化が背景にあるが、専門家は「雪の降り方も変わっている」と注意を呼びかけている。

 消防庁のまとめによると、2000~09年の雪の事故による死者・不明者439人(年平均44人)は、90~99年の190人(同19人)の約2.3倍 だ。05年12月~06年3月の「平成18年豪雪」の152人を中心に増えた。この10年の自然災害の死者・不明者は1174人。雪の事故の死者・不明者 はトップの風水害(589人)に次いで多い。

 消防庁が昨冬までの5冬の雪害の原因を調べると、(1)(雪下ろし中の)屋根やはしごなどからの転落(2)屋根からの落雪(3)水路などへの転落――が上位3で、全体の7割近くを占めた。この三つの死者・不明者の3分の2が65歳以上だった。

 内閣府や国土交通省の調査では、死亡事故の8割は1人で作業をしていた。救助が遅れ、死亡につながったケースも多い。内閣府などは過疎化や高齢化が背景 にあるとして、「高齢者が無理なく除雪できる体制の整備」を掲げ、地域共同での除雪作業や、地域外からのボランティアの確保を自治体に求めている。

 この冬はどうなるのか? 気象庁の最新の1カ月予報によると、北日本から西日本にかけての日本海側は気温は低めで、降雪量は多くなる可能性が高い。平成18年豪雪の一因となった「ラニーニャ現象」も発生しているので注意が必要だ。

 雪害の増加には、雪の降り方の変化を指摘する声もある。防災科学技術研究所雪氷防災研究センター(新潟県長岡市)の石坂雅昭センター長は「ある時期、特 定の地域に集中して雪が降るなど、降り方が変わってきているようだ」と指摘。暖冬に慣れているところに、突然の大雪が来ると被害も大きくなるとしている。

気象庁の直近の「異常気象レポート」(05年)によると、90年以降の降雪量はそれ以前に比べて1~2割減っている。地球温暖化の影響もあり、80年代後半に気温が上昇していることが原因だ。気象庁が08年にまとめた地球温暖化予測情報では、温暖化が進んだ場合、北海道の標高の高い地域(300メートル以上)では積雪が増え、それ以外の地域では減少する、としている。  しかし、降雪量は減っても年による変動や地域差はある。国交省の「豪雪地帯基礎調査」によると、特に雪の多い「特別豪雪地帯」(201市町村)の最大積雪(平均値)は、04、05年度は161センチ、00年度は150センチと80年代並みの年もある。  平均すれば暖冬であっても一時的に寒気が続けば、その時期にまとまった雪が降ることになる。昨冬は全体的には暖冬だったが、1月や2月上旬には寒気の影響を受け、新潟市では26年ぶりに81センチの積雪を観測した。東北の日本海側を中心に4年ぶりの大雪となり、被害が出た。
asahi.com(朝日新聞社):雪で死亡・不明、増加 高齢・過疎化響く 降り方も変化 - 社会